2020年10月02日

『NHK Eテレ世界の哲学者に人生相談 スペシャルエディション』(本の紹介)

  
   今回は、NHKのEテレで2018年に放送されていた番組の内容を書籍化した
 
  『NHK Eテレ世界の哲学者に人生相談 スペシャルエディション』です。

 
  1.読むきっかけ

   番組が始まる前の告知の段階で、高田純次さんと哲学という異色のコラボに注目していま

  した。番組が始まると想像通りのおもしろさで書籍化されたら必ず購入しようと思っていました。

  書籍の中身は番組のいい部分をかなり忠実に再現しています。番組はその後も続編が数回
  
  放送されているので、書籍も同様の展開になることを希望します。 

  2.目次

   プロローグ
 
   〈冒頭スペシャル対談〉 理想の相談相手とは?

   第1回 「人を愛せない?」
  
   第2回 「孤独を抜け出すには?」

   第3回 「自由になるには?」

   第4回 「働くってなに?」

   第5回 「満たされない心」

   第6回 「幸せになるには?」
  
   第7回 「死・死別を乗り超える」

   第8回 「憎しみを抑えたい」

   第9回 「同級生に感じる劣等感をどうにかしたい」

   第10回 「嫌な記憶に向き合う」

   第11回 「人の目が気になる」

   第12回 「老いていく自分が嫌になる」

   第13回 「人を妬んでしまう自分が嫌になる」

   第14回 「仕事?家族?中途半端な自分が許せない」

   第15回 「自分の意見が持てない」
   
   第16回 「マニュアル依存な自分。想定外に対応できない」

   おわりに
   
 
  3.本の概要

   視聴者からの悩み(上記目次の各回のタイトルにもなっています)に沿った哲学者の

  お考え(フレーズ)を紹介しつつ、お考えを踏まえた番組出演者のやりとりを再現して  
  
  います。最後に番組指南役でもある小川仁志先生のまとめで締めくくられています。


  4.感想

   各回で取り上げられた悩みの多くは、多くの人が大小抱えているような悩みだと思い

  ます。その悩みに対する哲学者の考えを非常に分かり易く解説していて、これまでにない
 
  視点が得られました。個人的にはこれまで哲学にネガティブなイメージがありました。

  しかしこの番組(と本書)で、そのイメージは完全に払拭されました。

   特に印象に残った箇所は、第6回と第9回です。

   第6回では、哲学者アランの以下のお考え(フレーズ)が紹介されています。

   「幸福は他人に対しても義務である なぜならば幸福は人に伝染するからだ」
 
   「悲観主義は感情によるもの 楽観主義は意思によるものである」

   上記のフレーズを知るまでは、ネガティブ思考・ポジティブ思考という言葉があるように、幸

   福感の多寡は、個々人の特性に左右されると思っていました。しかし上記フレーズで、個々

   人の特性はそこまで重要ではないのではないかと考えが変化しました。
   
    第9回では、哲学者アドラーの以下のお考え(フレーズ)が紹介されています。
  
   「悪い劣等感は他者との比較から生まれる。良い劣等感は理想の自分から生まれる。」

   劣等感にも良い悪いがあるのかと最初思いましたが、良い劣等感は向上心の前提となるもの
 
   と考えれば納得ができます。人の悩みは千差万別とは思いますが、根底にある原因の一つ
  
   に他人との無意味な比較によるものがあると日々感じています(他は、優先順位を付けられ

   ないまたは間違えることと、問題点を整理できないことです)。このフレーズで日々感じていた

   ことが確信に変わりました。 繰り返しになりますが、番組続編の書籍化を切に願います。                               

                                                        以 上
   



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Posted by つばめ at 00:46│Comments(0)本の紹介
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